6月30日<br><br><br> 美江のタイツが染みる。美江のワンピースも染みた。<br> 美江はしばらくもうひとりの自分と抱き合って息をした。<br>「また……昔と同じなんてね」<br>「冗談じゃ……ないわよ」<br>「言ったでしょ?明沢美江同士が戦った所で決着はつかないのよ」<br>「うるさい」<br>「だけど私だってね、勝たなくちゃならないのよ」<br> 美江はもう勝負に勝つことしか頭になかった。<br> 互いの腋に細い腕を通す。ねっとりベタついた首筋と首筋を重ねる。白のタイツと黒のタイツが擦れた。<br> 夏の夜に敷蒲団の上で抱き合うふたり。<br> お互いの身体で汗ばみ密着したふたりはゴロゴロと身体を左右に転がす。<br> 息が荒くなる。そのままキスをした。生ぬるい吐息を口一杯呑み込んだ。<br> 舌と舌を絡ませる。互いに相手の舌を濡らす。火照た舌に唾を塗りたくられた。<br> 狭い寝室でディープキスの音が響く。<br> ふっくらした白い太ももが黒い股間に押し当たる。続いて黒い太ももが白い股間に押し当てる。<br> 美江の手が美江の腰を触る。次に長い足を触る。腹を触る。乳を触る。互いの手がお互いの身体を触った。<br> ふたりの美江はディープキスをしながら抱き合い片方の手で触りながらあそこを刺激しあった。<br>「総合社員ってのは……はぁ、嘘よね」 <br>「はぁ、何の事よ?」<br>「大学行ってないあなたが総合社員なんかなれる訳がない。あなたの事だから嘘ついたんでしょ?」<br>「だからなによ?」<br>「私ね総合だとか一般だとかどうでもいいの。また社会に出れればなんでもいいのよ」<br> よくいうわ――。<br> こっちの苦労なんか知りもせずによくぬけぬけと、もうひとりの美江と舌を絡ましながら美江は声にせずに愚痴った。<br> 美江は美江と舌を絡ましていくうちにもうひとりの自分が憎くなってきた。そもそもなぜ彼女なのだ。行きたかった大学にも行けず高卒のOLとして働き毎日を寂しく暮らしていく。対して彼女は大手企業のエリートサラリーマンと結婚して裕福な家庭生活を営んでいる。あの時選ばれたのが彼女ではなく私だったならばこんな苦労はしなかった。<br> 舌の動きに美江は違和感をおぼえた。妙に力強く荒々しく雑い。途端気持ち悪くなってくる。不愉快な気分だ。<br> わざとらしい雑さに美江は腹をたてた。そして美江も乱雑に舌を動かす。わざと気持ち悪くなるようなキスをする。ごんごんっと何度も舌と舌がぶつかった。<br> 吐き気を催すキスはしばらく続いた。<br> まんこの感覚が冴えてくる。気持ちよさが磨かれたような感覚だ。白い太ももに美江は喘いだ。<br> 重なった喘ぎ声を聞いて美江は相手も感じているのだと知る。そして美江は美江の身体を押し離す。美江も美江の身体を押し離す。<br> 美江は足を伸ばして向こうのまんこを踏みつけた。もうひとりの美江も足を伸ばしてまんこを踏んでくる。白と黒のタイツが交差した。<br>「もう……諦めなさいよ、いい加減に」<br>「いい加減にするのはあなたよ」<br>「あなたなんか美江じゃない私が美江よ」<br>「あなたが美江なわけないでしょ偽者」<br>「偽者はあなたよ」<br> 白と黒のタイツが擦れて布の擦りきれる音がする。<br> そして絶頂が近づいた。<br>「いや、もういやだだめいやいやいや」<br>「もうむりこれ以上はむりだからもう」<br><br>「「ーーーーーーーーーーーーーー!!」」<br> 明沢美江同士でふたりはいった
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